前岡 範行
ノンプログラマーでも作れる3D図面自動設計
元不動産屋の自分は、同級生の大赤字の府中家具製造メーカーの立て直しを使命として2017年10月に、現在の高橋工芸株式会社に入社しました。その時に、2DCADの生産性の低さ、非効率な作業に埋もれた企業を立て直しするために、VBAとpythonを使い、設計の自動化を行いました。製造業も未経験。プログラミングも未経験の状態から、ウェブ検索と動画と試行錯誤を頼りに、3D図面の自動化に成功。専門知識の必要な部分を徹底的に排除。経理の人間でも3D家具設計が出来るプログラムを作成。万年営業赤字だった企業を2019年度は年間黒字化しました。大規模プログラムは全く書けず、ライブラリも理解してないけれども、書ける一行から書き続けて出来た事を発表したいと思います。
詳しい内容説明
3DCAD設計自動化プログラム「カグメイク」
年商2億円。単価平均20万円、年間1000アイテムを製造している家具メーカーの高橋工芸株式会社。元は不動産業経営をしていましたが、会社を辞め、次の大手不動産業者に転職するために退職した当日、2017年5月末日に聞いたのは、同級生の会社の、売上6割強の会社からの下請け切り宣告と、恩師の死でした。その日をきっかけに家具屋の立て直しに奔走してきました。
赤字の原因を突き詰めると、原因は、全ての家具の図面を4名の設計社員で描き、複雑でも短納期でも、直前の仕様変更でも全てYESと言い続ける、元請けの言いなりになっている事でした。
ただし、財務内容は大赤字であるものの、裏を返せば、ここまで顧客の多様なニーズを図面化している企業は世の中に存在し得ないだろうと考え、社内のCADの3D化を決断。ただし、3Dは誰も使えないので急激にスピードダウン。
3Dはおろか、2DCADですら、土地の線を数本引く用途にしか使った事の無かった自分が、反復と検索を頼りに毎日コードと3DCADとpython,VBAと向き合い、4.7日かかっていて、仕様変更が日常でその都度変更忘れや再発注だらけだった図面製作を最短30分に。また、図面を3D化、数値化した事により、発注、現場への指示、工程管理、営業支援等、図面に不随する情報を社員ごとに印刷できるように。
大規模なプログラムはもともと組めない為、最大数十行のプログラムを複数作り、また、行数を抑えるために1つの家具につき、CSVファイルを複数個作るようにして個別に社員と対話して手に入れたニーズを上乗せして作り上げてきました。
Trello、グーグルカレンダー、onenote、fax、メーラとも連携する事で、コーディングを最低限に抑えるように。常時50アイテムが流れている現場の部署それぞれに1つの図面から多数の情報をアウトプットし、その都度、設計社員が有している情報を現場にシェアする事による効果を実感。2017年の売上、2億円で営業大幅赤字だった会社が、ミスによる再製作の大幅減少、図面ミス、発注漏れ、発注ミス、指示ミスを無くし、また、現場の作業員が必要であろう、設計社員が持っている情報を、図面作成と同時に出力する事で、確認の時間、図面を眺めて考える時間を激減させ、同じ売上で残業時間を激減。
2019年度、営業黒字に転換し、10年以上続いた赤字体質を脱却。
ノンプログラマーでも出来るプログラミングによる企業改革について、お話させていただきます。